秘密証書遺言はどんな遺言??【新潟市の相続専門ブログ】

query_builder 2020/05/31
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1.秘密証書遺言について
秘密証書遺言とは、遺言の内容を誰にも公開せずに秘密にしたまま公証人に遺言の『存在』のみを証明してもらう遺言のことです。つまり、公証人と証人2人に遺言書の「存在」の証明をしてもらいながら、本人以外誰も、内容を見ることができません。遺言内容を「秘密」にすることができる遺言書の形式です。

秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければなりません。
(1)遺言者が、その証書に署名押印すること。
(2)遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
(3)遺言者が、公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
(4)公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名押印すること。

秘密証書遺言の特徴は、『遺言者の死後に遺言書の存在の有無がわかる』、『遺言の内容を秘密にしておくことが出来る』ことが挙げられます。
ただし、自筆証書遺言や公正証書遺言と違い秘密証書遺言を遺言作成方法に使う方は非常に少なく、年間100件程度しか作られていないといわれています。

対して公正証書遺言は、平成30年1月から12月までの1年間に全国で11万0471件も作成されています。
なぜ、秘密証書遺言はあまり利用されていないのでしょうか。

2.秘密証書遺言のメリット
秘密証書遺言の最大のメリットは、名前のとおり遺言書の内容を遺言者の相続発生まで秘密にできることです。
また遺言者が封をして、公証人が封紙に署名をする手段を取るので、偽造、変造を防ぐこともできます。
秘密証書遺言の場合は自筆で残さないといけないという縛りはなく、パソコンで打ち出したり、代筆でも問題ありません。ですので、自分で書くのが難しい方には良いかもしれません。

3.秘密証書遺言のデメリット
まず、最大のデメリットは『トラブルになりやすいこと』です。
公証人は遺言の「内容」までは確認しません。あくまでも「存在」についての証明はしてくれますが、書式面で要件を満たさず遺言書自体の無効性を問われたり、法的に無効もしくはわかりにくい内容のため紛争になってしまうというリスクがあります。

そして、『紛失してしまう可能性がある』という点もデメリットでしょう。
遺言書の保管は、公証人役場が行うのではなく、あくまでも遺言者自身で行う必要があります。
「存在」を証明はしてくれる特性から記録は公証人役場に残ります。
もし、秘密証書で遺言書を作成する場合には、保管場所についてだけは、明らかにしておいたほうが良いです。

また、
・自筆証書遺言と同じく家庭裁判所での『検認手続きが必要』で、意外と面倒であること
・公正証書遺言と同じく『証人が2人以上必要』であること
・秘密証書遺言の内容を変更したい場合、再度公証人役場で同様の秘密証書遺言の手続きを行う必要があります『書き直しが手間』であること
等のデメリットがあげられます。

4.秘密証書遺言が遺言方法として採用されていない理由
秘密証書遺言はこれまでのメリット・デメリットからみるにとても中途半端であることが特徴としてあげられると思います。
公正証書遺言の同じような手間や自筆証書遺言の遺言の無効性を問われたときの紛争リスクを持っているということから、それだったら
『必ずこうしてほしいから公正証書遺言にしよう』とか『気軽に自筆証書遺言にしよう』という気持ちになると思います。

最後に、、、とてもレアは遺言手法です。

【新潟市の相続専門ブログ】相続専門税理士・CFP認定者 梅田 篤志

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